お正月の年賀状を出すことはあっても、夏のご挨拶である暑中見舞いや残暑見舞いは出したことがない、そんな人も少なくないと思います。
でも、なかなか会えない人にご挨拶のハガキを出すことは、受け取る方も喜んでくれますが書き手の自分も相手を想うことで心が通い合う気がして、嬉しい気持ちになれるものです。
今年は暑中見舞いや残暑見舞いを送ってみませんか?この2つの夏の挨拶状の違いや、書き方のマナーについて詳しく解説していきましょう。
暑中見舞い・残暑見舞いとは
暑中見舞いと残暑見舞い、どちらも暑い季節に送る挨拶状ですが、どんな違いがあるのでしょうか?
暑中見舞いとは
暑中見舞いと残暑見舞い、一番の違いは送る時期にあります。暑中見舞いは1年で最も暑い時期、暑さがピークになる頃に送るもので、一般的には梅雨が明けた頃から立秋の前日、土用の終わりまでが目安になります。
夏の暑さが厳しい中、お世話になっている人やご無沙汰している人、お客様などの安否を伺うために送りますが、自分の近況を添えて報告するという目的もあります。
まず最初に書くのは挨拶文で、「暑中お見舞い申し上げます」から始めます。
残暑見舞いとは
残暑見舞いは、立秋を過ぎて暦の上で秋を迎えて頃になっても、まだまだ暑い日が続く時期に送る挨拶状です。
内容としては暑中見舞いとほぼ同じ、安否伺いや自分の近況を報告する内容になりますが、出す時期以外にも挨拶文に違いがあります。
「残暑お見舞い申し上げます」と書き、時候の挨拶も暑中見舞いとは異なります。
なお、暑中見舞いと残暑見舞いは、どちらか一方出せば良いのですが、両方出しても問題はないようです。
暑中見舞い・残暑見舞いの期間
それぞれ送る時期の目安があり、この2つが被る時期はないようです。出す目安の境目がはっきりしているということですが、それはいつなのでしょうか。
暑中見舞いはいつからいつまで?
暑中見舞いの場合は、二十四節季の「小暑」から「立秋の前日」まで、分かりやすく言うと7月7日頃から8月7日頃までに送るのが一般的だといわれています。
でも実は、暑中見舞いを送る時期については諸説あり、上記の期間の他にも
▪夏の土用から立秋の前日
▪梅雨明けから立秋の前日
という説があります。
土用や立秋は、その年によって日にちが違うので注意が必要です。「梅雨明け」というのも毎年決まっているわけではありませんから、いつからいつまでということに関しては、カレンダー上では毎年変わってしまうことになります。
しかし、どの説でも立秋の前日までとなっていますから、「いつまで」に関しては立秋の前日までに届くように送ることが大切でしょう。この日を過ぎてしまうと、暑中見舞いではなく残暑見舞いに変わってしまいます。
「いつから」に関しては、最も暑い頃に送るのがベストですが、上記のいずれかを目安にすれば問題はないでしょう。
残暑見舞いはいつからいつまで?
残暑見舞いは、暑中見舞いを出す期限を過ぎてから送るもので、その時期は立秋(8月8日頃)からになります。
「いつまで」に関しては、8月末頃までに届くようにするのがベストですが、9月7日頃の「処暑の候」までならギリギリセーフ、遅くてもこの日までに届くように送ります。
9月7日頃の処暑の候を過ぎたけれど送りたいというのなら、残暑見舞いではなく通常の手紙として出すことになります。
すでに夏の暑さや残暑をお見舞いする季節ではありませんから、季節の挨拶としては「秋晴の候」「初秋を迎え」など、時期に合った言葉を選びます。
相手から残暑見舞いをもらった返信が遅れてしまった場合は、残暑見舞いを受けとったお礼の言葉の後に、返事が遅れた理由やお詫びの言葉を書くようにしましょう。
暑中見舞い・残暑見舞いにはどんなことを書けばいい?
暑中見舞いと残暑見舞い、それぞれに書く内容について説明します。
暑中見舞いに書く内容
1.お見舞いの挨拶
「暑中お見舞い申し上げます」または「暑中お伺い申し上げます」など、まず最初にお見舞いの挨拶を書きます。句点の「。」は書きません。
2.時候の挨拶から始まる主文
時候の挨拶と相手を気づかう内容で、例えば「暑い日が続きますが、いかがお過ごしでしょうか」「暑さ厳しいこの頃、お変わりなくお過ごしでしょうか」など、自分が感じている季節感や、送り先の気候や土地柄に合わせた表現にするといいでしょう。
また、もしお世話になったことがあったのなら、そのお礼についても伝えるようにします。その後、自分や家族の近況を報告しましょう。
3.結びの挨拶
いきなり終わらせるのではなく、結びの挨拶として相手の健康を気づかう一言などで締めくくります。例えば、「時節柄、くれぐれもご自愛くださいませ」「まだまだ暑さが続きますので、ご自愛のほどお祈り申し上げます」などです。
4.日付
日付と言ってもハガキを書いた日を入れるのではなく、その年(縦書きなら令和○年というふうに)、そしてその下に「盛夏」などと入れます。
残暑見舞いに書く内容
残暑見舞いの書き方は、暑中見舞いの書き方と同様の構成になります。
1.お見舞いの挨拶
2.時候の挨拶から始まる主文(相手の安否を気づかう言葉や自分の近況報告など)
3.結びの挨拶
4.日付
暑中見舞いと構成は同じですが、異なるのは次の点になります。
挨拶文
残暑見舞いなので、「残暑お見舞い申し上げます」に変わります。
安否を気づかう言葉
立秋を過ぎたのにまだ暑い日が続くことから、「立秋とは名ばかりで暑い日が続いていますが、お元気でいらっしゃいますでしょうか」「暦の上では秋になったとはいえ、なお暑い日が続いていますが、お元気でいらっしゃいますか」など、相手の体調などを気づかいます。
結びの言葉
「夏のお疲れが出る頃ですので、どうぞご自愛くださいませ」「残暑厳しき折から、くれぐれも体調にはお気をつけてお過ごしください」など、残暑をお見舞いする主旨である相手の健康を気づかう言葉で締めくくりましょう。
日付
暑中見舞いと同じく詳細な日付を入れるのではなく「令和〇年」などその年を書き、次に「晩夏」「立秋」などと入れます。
なお、暑中見舞い・残暑見舞いには、一般的な手紙のような「拝啓」「前略」などの頭語、「敬具」「草々」などの結語は書きません。
受け取ったらお礼を書いた方がいい?
暑中見舞いや残暑見舞い、受け取った場合はお礼を書くべきなのか、迷ってしまった経験があるかもしれませんよね。
年賀状ならどうでしょうか、受け取ったら返事を書かなければと思いますよね。
暑中見舞いや残暑見舞いも年賀状と同様に、礼儀としては相手と交換するものなので、受け取ったら返事を書くべきだといわれています。
特に目上の人からいただいた暑中見舞いや残暑見舞いについては、返信しないことは失礼に当たりますから、必ずお礼を書いて出すようにしましょう。
お礼を送る場合は、相手に届く時期によって暑中見舞いになるのか、それとも残暑見舞いになるのか違ってきますから、間違えないようにすることが大切です。
年賀状もそうですが、目上の人からいただいてから慌てて返信するのは、ちょっと気まずさがありますよね。
去年もいただいているのなら、自分から先手で送るようにすれば安心でしょう。
暑中見舞いや残暑見舞いへのお礼、返信する場合の書き方は、基本的に同じような構成になります。
ただ、時候の挨拶を書く代わりに、暑中見舞いや残暑見舞いをいただいたことへの感謝の言葉を書くと良いでしょう。
また、返信であることから、暑中見舞いや残暑見舞いに書かれていた相手の近況報告に対するメッセージを添えると喜ばれるでしょう。
まとめ
暑中見舞いと残暑見舞い、どちらも暑い日が続くことをお見舞いし相手の健康を気づかう手紙ですが、自分や家族の近況を報告する意味合いもあります。
それぞれ送る時期が決まっているので、暑中見舞いでいいのか残暑見舞いになるのかを確認してから書くようにしましょう。
また、暑中見舞いや残暑見舞いを受け取った時は、そのお礼の言葉を添えて返信するようにします。
年賀状と同様に、暑中見舞いや残暑見舞いも相手と交換するもの、返信しないのは礼儀を欠くことになりますから注意して下さいね。